コロナも明けていよいよ実習が始まりますね。学生指導にマイナスのイメージを持っている方が多いと思います。臨地実習指導者を6年経験した私が学生の指導に悩んだ時の解決策をお伝えしたいと思います。
この記事は以下の方におすすめです。
・学生と関わるのが大変
・臨地実習指導者をやりたくないのに任せられた
・病棟スタッフが協力してくれなくて疲れた
・臨地実習指導者にやりがいを感じない
・学生の評価をすることに責任を感じてしまう
私も全然乗り気ではなかったのですが、この解決策を実践するようになってから臨地実習指導に楽しさを見出せるようになってきました。ご参考になると幸いです。
臨地実習指導者とは
看護実践能力育成における臨地実習の意義として、臨地実習は、看護職者が行う実践の中に学生が身を置き、看護職者の立場でケアを行うこととされています。その現場で指導を担うのが臨地実習指導者です。
(以下実習指導者と明記します。)出典:文部科学省「臨地実習指導体制と新卒者の支援」
臨地実習指導者の1日
実習開始
病棟へ挨拶し、実習の開始です。
行動計画 朝から最大の難関
1番大変なのが行動計画です。学生も苦労しますがこちらも苦労します。
実習に慣れていない時期は行動計画を書けず実習に来る学生もいます。(正直これにはびっくりしました笑)
朝の行動計画を学校の実習指導の先生と手分けして行います。
やはり学生なので患者の生活リズムに合わせるというより、自分がやりたいこと優先の行動計画になってしまいます。
そこを修正しながら患者中心の行動計画の共有を行います。
患者のバイタル測定
学生のできる範囲は限られるのでバイタル測定は必須です。物品の使い方の確認や患者を訪室した際に確認しなければならないことをまとめて確認します。
患者のケアや検査見学
その日の受け持ちに依頼し清潔ケアや検査などの実施・見学をさせます。受け持ちと患者のペースがあるのでタイミングを逃さないように調整することが必要です。
休憩
学生にって至福の時間。しっかりと時間が取れるように調整します。
患者とのコミュニケーション・指導実施
コミュニケーションの取れる患者であれば談話室でお話ししたりします。また。生活指導の必要な患者であれば指導案をもとに指導を実施したりします。
カンファレンス
学生と先生とカンファレンスを行います。議題は学生が決めてくれます。学生の視点で気がついたこと学んだことを聞くことができる時間です。1時間ほどですが学生自身話す事をまとめられなかったりするのでうますファシリテートし、カンファレンスが滞りなく行われるようフォローが必要です。
実習終了
病棟に挨拶して実習終了となります。
実習指導者の辛さとは?
負担の増加
実習指導者は、学生の指導やフォロー、毎日の行動計画の修正、学生の受け持っている患者の検査や方針を確認し学生が見学・実施できる範囲の把握と行動調整などを行う必要があります。学生、患者、スタッフとの調整が必要なのでいつもより負担が大きいです。そのため、実習指導者は時間的な制約やコミュニケーションを多く取らなければならないのでストレスを感じることがあります。
責任の増加
実習指導者は、実習生の指導を通じて安全で適切な看護ケアが行われるために責任を負います。学生の行う看護ケアが安全に行われるために適切な場所や患者の状態を整える必要があります。万が一、何かが起こった場合には、実習指導者がその責任を問われたりする可能性があります。
個別性のある指導
実習指導者は、実習生が技術や知識を習得するために、適切な指導方法を提供しなければなりません。しかし、実習生は、一人ひとりが異なるため、指導者はその都度、最適な方法を探りながら指導を行わなければなりません。学生の知識、理解度に合わせて患者のアセスメントをした上での看護ケアを立案し、実践するまで指導しなければなりません。学生レベルでいいのですが、それぞれ患者も違うし学生の個別性も考えなければいけないので大変です。
学生との関係性
実習指導者と実習生との関係は、時に複雑なものになることがあります。実習生が指導者の意見やアドバイスに従わなかった場合、指導者はそれに対処しなければなりません。新人と学生は違うので学生だという認識のもと指導しなければなりません。どうしても学生に理解してもらいたいという熱心さで、指導者が実習生に指導を行った場合、実習生から反感を持たれることがあるため、指導者としてのバランス感覚が必要です。
意見や評価の責任
実習指導者は、実習生の成長を促すために、指導やアドバイスを行うだけでなく、実習生の評価を行うことがあります。その際には、公正かつ正確な評価を行わなければなりません。しかし、実習生に対して不公平な評価を下してしまった場合、実習生の成長や指導者自身の信頼に悪影響を与えることがあります。
実習指導の辛さを解決するヒント6選
目的を明確にすること
実習指導を行う前に、目的を明確にしておくことが重要です。学校が提示している目標をクリアできるように指導するのは必須です。実習指導者として実習生に何を教えたいのか、どのようなスキルや知識を身につけてほしいのかを明確にし、それを実現するための指導方法を考えましょう。
コミュニケーションを大切にすること
実習指導は、実習生とのコミュニケーションが非常に重要です。実習生が不安や疑問を抱えている場合には、しっかりと向き合い、話し合いを行うことで解決策を見つけましょう。また、学生だけでなく協力してくれる患者やスタッフへの配慮も必要です。まめにコミュニケーションをとり、誰かが不満を抱えないようにすることが大切です。
看護実践を積極的に行うこと
実習指導者は、実習生が実践を積極的に行うよう促すことが重要です。実践を通じて、実習生は技術や知識を習得し、成長していくことができます。臨地実習は座学では学ぶことのできない患者との関わり方、その学生の感性や看護観を磨くことができます。なので看護実践を積極的に行うことができるように調整をしましょう。
即時フィードバックを行うこと
実習生に対して即時にフィードバックを行いましょう。何がうまくいって患者さんの反応が良かったのか、何を改善するべきかなどをできるだけ早くフィードバックします。学生は目の前のことで精一杯で自分が実施したことや患者さんの些細な反応などを忘れてしまいます。なので、その場で共有を行うことを意識することをおすすめします。
評価に関して責任を感じ過ぎない
学校の先生と相談の上、学生の評価を行います。その際に責任を感じ過ぎないようにしてください。この子の人生が…とか思う必要はありません。学校の先生と相談しての評価ですし、大半は先生が査定ラインを提示してくれるので自身のせいで実習単位を落とさせてしまったと責任を感じ過ぎず悩まないでください。また、先生に単位を落とした理由を確認するのも良いと思います。
自己管理を行うこと
実習指導は、指導者自身が責任を持って行うものです。そのため、自己管理をしっかりと行い体調を崩したりせずに実習期間を乗り越えることが必要です。その期間に休んでしまうと学生の成長を見守ることができないし、スタッフにも負担をかけてしまいます。なのでお休みの日は、適度な休息をとり、心身共にリフレッシュすることが大切です。勤務後も無理せず自分に負荷を与え過ぎないマインドで過ごすことも大切です。
まとめ
臨地実習指導はかなり責任が大きくストレスもかかります。しかし、自身も同じように乗り越えてきた道。
それを1番近くで指導しながら応援できる立場が臨地実習指導者です。
看護師や助産師の道がいかに大変で責任のある仕事なのかを伝えると同時に、楽しさややりがいを学生に伝えて欲しいと思います。
辛いことも多いですが、この記事をヒントに臨地実習指導者に楽しさを見出してもらえたらなと思っています!
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