助産師になるには看護師国家資格が必須
看護師とは
「保健師助産師看護師法」では、看護師の役割を以下のように定義しています。
「厚生労働大臣の免許を受けて、傷病者もしくは褥婦(出産後間もない女性のこと)に対する療養上の世話、または診療の補助を行うことを生業とする者」
病気やけがをした人のケアや診療の補助を行う医療専門職です。医師の診察にもとづき、診療や治療の補助を行い、病気やケガなどで不自由な生活を送る患者さんに対して、看護を提供します。看護師になるためには、専門の教育課程を修了し、「看護師国家試験」に合格しなければなりません。
助産師とは?
「保健師助産師看護師法」では、助産師の役割を以下のように定義しています。
「厚生労働大臣の免許を受けて、助産又は妊婦、じょく婦若しくは新生児の保健指導を行うことを業とする女子 」
※「じょく婦」とは、出産して間もない女性を指します。
出典:日本助産師会、e-Gov法令検索
現在、日本では女性しかなれない職業です。日本以外では男性の助産師もいます。助産師は、妊娠・出産・育児に関する専門知識を有する医療従事者です。助産師は、産婦さんやその家族に対して、妊娠から産後までの健康管理やケアを提供し、出産時には、分娩のサポートや新生児のケアなどを行います。また、妊娠前〜産後の生活全般における保健指導の役割を担います。助産師になるためには、「看護師国家試験」と「助産師国家試験」に合格する必要があります。助産師国家試験の合格率は約98%と言われています。
助産師の仕事内容と役割
出産前
出産の準備として陣痛の周期、出産から入退院までの流れなどの産前教育を行い、ママになる準備を少しずつしてく手助けをします。また、心理的なケアを行い、妊娠経過中や出産に対する不安や悩みを軽減できるように関わります。
出産中
お産に至るまでの全面的なサポートを行います。ママと赤ちゃんへの負担が最小限となるようにお産に至るまでの全面的なサポートを行います。そして、赤ちゃんを取り上げる「分娩介助」をおこないます。
出産後
入院中の妊婦の体調管理、母乳指導、育児指導含めた保健指導などをおこないます。また、退院後の生活や育児に関するアドバイスなどもおこないます。ママだけではなく、パートナーやその家族にもアドバイスを行います。
助産師に必要な資格や能力
コミュニケーション能力
患者さんやその家族と密にコミュニケーションを取りながら、妊娠・出産・育児などに関する相談やアドバイスを行う必要があります。そのため、コミュニケーション能力が求められます。また職場においても医師や心理士、ソーシャルワーカーなど他職種の方と関わるのでとても重要です。
医療知識と技術能力
妊娠中から出産後まで、患者さんの健康管理や医療行為を行うことがあります。そのため、医療知識と技術能力が必要不可欠です。
問題解決能力
妊娠・出産に関するトラブルや合併症など、さまざまな問題に対応する必要があります。そのため、問題解決能力が求められます。
助産師になるための教育機関
- 専門職大学院
- 大学院修士課程
- 大学専攻科
- 大学
- 短期大学専攻科
- 専修学校
助産師になるための最短ルート
大学
4年制の看護大学で看護師課程と助産師課程の両方を修了し、看護師国家試験と助産師国家試験の両方に合格して、それぞれの国家資格を取得するルートと看護短大・専門学校卒業後に短大・専修学校・大学専攻科を1年で卒業するのルートがあります。こちらが4年間で助産師資格を取得する最短ルートです。
4年制大学の場合大学の最終学年で看護師国家試験と助産師国家試験をダブル受験し、双方をクリアできれば卒業してすぐに助産師として働くことができます。助産師国家試験に合格しても看護師国家試験が不合格だった場合、助産師資格を得ることができません。助産師国家試験の合格実績に有効期限はありませんので、翌年以降に看護師国家試験に合格すれば、助産師免許の申請ができます。
看護大学・短期大学・専門学校から目指す/すでに看護師として働いている場合
看護大学(4年制)・短大・専門学校(3年制)で看護師課程を修了し、看護師国家試験に合格して国家資格を取得。
卒業後に短大・専修学校(1年)、大学院(2年)などで助産師課程を修了して、助産師国家試験を受験するルートです。看護師として働きながら助産師になる方もこのルートになります。
大学に行く必要がある?
大学の種類と特徴
大学には国立、私立、公立大学とあり、その中でも助産学が学ぶ事ができる大学は限られています。
- 看護大学
看護学科の中に助産学科が設置されている大学が多いです。看護学科の中で助産学科が設置されているので3年次に選考試験があります。選考試験に合格した者だけが助産学を学ぶ事ができます。 - 医療系大学
医療系大学にも、助産学科を設置しているところがあります。医学部と合わせて、医療に関する知識を幅広く学べるのが特徴です。 - 総合大学
総合大学にも、医学部や看護学部の中に助産学科が設置されているところがあります。多彩な学部・学科があるため、他の分野の学生と交流することができるのも魅力的です。
大学のカリキュラムや授業内容
- 実習の充実
助産専攻では、学校の教室や実習施設での授業に加え、病院や助産所での実習も行われます。実際の現場での実習を通じて、臨床現場で必要なスキルや知識を習得します。 - 妊娠・出産・子育てに関する幅広い知識
助産専攻では、妊娠・出産・子育てに関する基礎的な知識や、社会・心理的な背景についても学びます。また、複数の学科と連携して、医療や保健、教育などの観点から、総合的なアプローチで学ぶことができます。 - 学術研究への取り組み
大学の助産専攻では、学術研究に取り組むこともできます。最新の研究成果を取り入れた授業や、卒業論文の作成などを通じて、専門的な知識と研究力を身につけることができます。 - 助産師国家試験への対策
助産師国家試験に合格するための知識や技術を学ぶことができます。ゼミで国家試験対策を行います。
助産師に学歴は必要か?
絶対ではありませんが必要だと感じています。自分自身が運のいい事に大学を卒業しました。(Fランですが笑)
大学での経験や学んだことは財産になります。そして人間を柔軟に育ててくれる環境が大学だと感じています。私は東北のど田舎で学歴なんかとはかけ離れた家庭環境でぬくぬくと育ちました。今人生を振り返ると高校生の時に選択肢の幅があれば人生また違った形になっていたかもしれないと思います。
病院勤務をしていても昇格時に最終学歴が考慮される現実もあります。また、助産師といっても病院で働くだけが助産師ではなくなっています。なので、助産師としても人間としても自身の幅を広げるために学歴があって損はしません。
そして何より楽しいです!!!医療系の学部は他の学部よりタイトなスケジュールで単位履修も大変です。国試前はトリプル受験だったので1日12時間勉強しました。(あの頃の集中力が欲しい)そんな時期を乗り越えた仲間との日々は最高の思い出です。誰かの家に入り浸って授業サボるとか出席簿に丸つけただけで帰るとか大学生あるあるも経験しました。きっと経験ある方もいるはず…と思いたい。
もし進学先に悩んでいる方がいたら参考にしていただければ幸いです。
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